今年の甲子園は、神奈川県代表の慶応高校野球部の優勝で幕を閉じました。
107年ぶり2回目の優勝を成し遂げた慶応高校野球部。
このチームを優勝に導いた人は誰なのか?どんなことをして生徒たちをサポートしているのか?気になるところです。
慶応高校野球部には、慶応大学の学生コーチがいると知り俄然興味が湧きました。
そこで今回は、慶応高校野球部を優勝に導いたの誰か?そして慶応大学 学生コーチの果たした役割を調べていきましょう。
慶応高校野球部を優勝に導いたのは誰なのか?
慶応高校野球部が甲子園で107年ぶりの優勝を果たしました。
一世紀ぶりの優勝、ここまで来るのには物凄く時間がかかったということ。
多くの人が、この優勝という大快挙を成し遂げた野球部に関わってきたのだと思います。
慶応高校野球部を優勝に導いた人は誰なのか?調べていきましょう。
森林監督の力だけではない
慶応高校野球部の森林監督は、新しい考え方での高校野球を提唱している監督です。
慶應高校野球部 森林監督の教育方針。
素晴らしいのひとこと。 pic.twitter.com/xmjQuU26DE— リス子🐿️サイドFIREしながらユル生活 (@charenji241533) August 23, 2023
森林監督は「エンジョイベース・ボール」の考え方をモットーに選手の自主性を重視し、選手自身が考える野球を目指して生徒たちに指導してきた方です。
「エンジョイベースボール」には「野球を楽しむためにはレベルを上げていこうよ」という意味があるそうです。
「より高いステージで野球をして、そこで見える景色を楽しむ」ことを目指すと森林監督がおっしゃっていますね。
「エンジョイベースボール」と口に出して言うことによって生徒たちに常にレベルを上げていくことを意識づけさせる。
いつも、野球を純粋に楽しむという気持ちと生徒自身が頭で考えて行動することができるようになっていくための合言葉のようなものと受け取りました。
100人以上の大所帯である慶応高校野球部の指導は監督一人では無理ですので、当然大勢のスタッフで構成されています。
他の強豪校でも、野球部のスタッフとしてチームを支えている人たちがいるはずです。
慶応高校野球部のスタッフには、どんな人たちがいるのでしょう。
慶応高校野球部のコーチとして多くの大学生が在籍している
慶応高校野球部のスタッフのことが気になったので、慶應義塾高等学校野球部のホームページを見てみました。
すると、もちろん学校の関係者が並んでいます。
森林監督があり、そのあとです。
内野コーチ・外野コーチと続き、そこにには大学生の名前と学部と学年が。
大学生のコーチ?それもこんなに大勢の?
これ、かっこいいじゃないですか!
そして、これは珍しいことなのではないのかと思いました。
森林監督は、慶応高校野球部の選手であり大学では慶応高校野球部の学生コーチをされていたそうなんです。
「あーなるほど、そうなのか」と、すごく納得してしまいました。
TBSの井上貴博アナウンサーは、幼稚舎から大学まで通われた生粋の慶応ボーイで慶応高校高校野球部に在籍されていた方です。
井上アナは、当時コーチをされていた森林監督といっしょに学生コーチをされていたそうです。
とっても力の入った応援をしていらっしゃるのは、まさにこの学生コーチをしていた経験があるからなんですね。
それなら慶応高校野球部愛が溢れるのも当然だと、物凄く納得しました。
慶応には野球部出身の大学生が「学生コーチ」としてチームを支える伝統があるんですね。
慶応大学 学生コーチの果たした役割は?
慶応高校野球部のコーチをしているのは、慶応大学の学生達。
慶応高校を卒業し慶応大学の野球部へ入る人や、高校の野球部のコーチになる人がいるんですね。
コーチといっても報酬があるわけではなく、ボランティアだそうです。
学生コーチがどのようなことを指導しているのかをみていきましょう。
学生コーチの役割はポジション毎に細分化されている
現在は大学1~3年生の約10人が学生コーチとして在籍していて、大学の講義のない時間に練習に参加しているそうです。
10人の学生コーチとメディア担当部長補佐という役職の方が1人という構成になっています。
学生コーチの役割とは、何でしょうか?
学生コーチの役割分担ですが…
- 投手コーチ・・・2名
- 捕手コーチ・・・2名
- 外野コーチ・・・3名
- 内野手コーチ・・2名
- 打撃コーチ・・・1名
- マネージャーの補佐をするコーチ・・・1名
ポジション毎に細かな指導ができることは大きなメリットでしょうね。
学生コーチは選手たちと同世代なので、技術的なサポートはもちろんですが気持ちの面でもサポートができるんです。
お兄さんなら色々と聞きやすいし、教え方もわかりやすいという環境を自然に作り出せますよね。
しかし、学生コーチから「教える」ということだけしているわけではないそうです。
元々慶応高校野球部に所属していた学生ですので、選手の自主性を大切にしていることをよくわかっている人たちです。
それゆえ、コーチも選手も「考える」ことを重視しています。
指導や相談を受けた時にはコーチが答えを伝えてしまうのではなく、選手自身が考えて気づくことがベストだという考え方だそうです。
これを日々繰り返していくことでそういった思考が習慣化され、自分自身で考えるという自主性が育つのではないでしょうか。
もちろん、選手たちと年齢の近い学生コーチは監督らと選手の「橋渡し役」として重要な役割を果たすのです。
自分が選手時代に学生コーチに指導されてきているからこそ、後輩に自然に指導できるのでしょうね。
素晴らしいことですね。
実際にどんなことを学生コーチが行っているのか
学生コーチの役割は多岐にわたります。
どんなことをするのでしょうか。
もちろん今までのやり方を踏襲している部分はあるでしょう。
しかし、従来の取り組みと全く同じではなく進化しているようなんです。
慶應義塾大学体育研究所のラボに参加し新しい取り組みを始めた
学生コーチの松平康稔さん(大学2年生・投手コーチ)は、慶應義塾大学体育研究所 稲見崇孝研究室の「スポーツサイエンスラボ」に参加し新しい指導方法として取り入れ始めたそうです。
稲見崇孝研究室は、体育・スポーツ科学に関する研究と教育を実践する慶應義塾大学体育研究所の研究室の1つだそうです。
学生コーチは監督からの指示を受けて練習メニューや細部の計画を立てたり、実際の練習中にバッティング練習やトス投げを担当したりもするそうです。
最近では、テクノロジーを駆使した新しいコーチングをと取り入れてスポーツパフォーマンスを向上させようという取り組みを行っているそうです。
選手のパフォーマンス測定をするために、動作解析ツールや高精度の測定機器を使います。
練習のメニューに対しての根拠づけや選手の評価にも使える可能性があると考え、以前から行われていた球速や球質の数値の測定に加え新たに様々な数値を測定し分析することで良い組織づくりに応用していきたいと考えているそうです。
この取り組みは、細かな計測をして数値化するところから始めることになるでしょう。
メジャーで選手ひとりひとりの体のデーターを測ったりするアナログな作業から、様々な計器を使ってのデータ取りと分析。
これはとても手間のかかる大変なことだと思います。
コーチが選手の体やパフォーマンスを計測し分析し数値化。
それを可視化することによって、具体的な指導ができるのは強みでしょう。
この素晴らしくも先進的なサポートをボランティアで行うということはすごいことですよね。
慶応高校野球部に対する愛がなきゃやれないことなんだと感じました。
1人のコーチが大人数を見なければいけないとなれば、厳しい部分もあるのではないかと思いますが…
なぜここまで細かく指導できるか?
それは、ポジションごとに学生コーチがいるから出来ることなんでしょうね。
学生コーチはLINEを通じて選手と連絡を取り、動画を共有して打撃フォームなどの向上点をアドバイスすることもあるとのこと。
LINEを使って連絡を取り合うあたりは、選手とコーチが同世代であることが大きいと感じますね。
夏の甲子園史上初めて、先頭打者ホームランを、打った丸田くん。しかもこれが公式戦で初めて打ったホームラン。
さらに、これはジャンケンで負けた慶応が先行になったからこそ、生まれた発想
慶應大学の学生コーチ、及び、現役生のデータ分析
それで応援に火がついた慶応
勝つべくして勝った試合
— リョウマルヤマ (@Ry069_19) August 23, 2023
監督へ打順を提案するためにA4レポート数十枚にデータと分析まとめてくる選手がいる慶応高校野球部、格が違う()
— ren (@7wvVcPVZHq48ARs) August 27, 2023
選手自身もデータを出し分析をしているのは、学生コーチの指導の影響があるのでしょうね。
学生コーチが選手に寄り添ってくれる
学生コーチの斎藤俊さん(大学3年生・打撃コーチ)が心がけていることは、選手個々人に目線を合わせることだそうです。
100人を超える部員を抱える慶応高校野球部。
その中には色々な部員がいて、中学時代から全国的に有名だったエリートやけがで思うようにプレーできない部員もいるでしょう。
斎藤俊さんは5年前の春の選抜大会と夏の甲子園大会でベンチ入りはしたそうですが、一塁のランナーコーチを務めていたそうです。
斎藤俊さんは、甲子園の試合での出場はなかった方なんです。
それは、慢性的なひじのけがに苦しんだ高校生活を送ったから。
その経験から、プレーに悩む選手や試合に出場できていない選手にも気配りをしているそうです。
成功体験を語ること、それが助言になることもあるでしょうがそうでもない場合もあります。
「自分は野球の成功者ではない」と言われる斎藤さんは、選手と一緒に悩みながら助言するようにしているとのこと。
意見を押しつけることはせず「こうした方が良いのでは?」という提案型の助言を意識しているそうなんです。
コンディションを崩して悩んでいる選手にとって一緒に悩んでくれて、助言をしてくれる兄のような存在があったら心強いですよね。
選手のメンタル面をフォローしてくれる学生コーチの存在は、とても大きなものだと思います。
逆に試合出場経験が豊富で高い技術を伝える学生コーチもいるわけで、様々な経歴を持つコーチがいるから選手にも様々な向合い方ができるそうなんです。
まとめ
2023年夏の甲子園、日本中が注目していた仙台育英との決勝戦で慶応高校野球部が優勝し本当の強さを見せてくれました。
慶応高校野球部を優勝に導いた人は誰なんだろう?そんなに強くなれたのはどうしてなんだろう?という疑問が出てきました。
慶応大学の学生が慶応高校野球部のコーチの役目をを担っていると知り、どんなことしているのかを知りたくなりました。
選手と年齢の近いが学生が、選手の成長を助けてくれる身近なコーチとして存在する。
ポジションごとにコーチをおいて、データ分析から具体的な指導を行いメンタル面までをフォローする。
そして「エンジョイベースボール」を共に体現しチームを強くする。
学生コーチは、このような重要な役割を果たしていたんですね。
このように慶応高校野球部の選手たちと慶応大学の学生コーチの間には、こんな素晴らしい関係があることがわかりました。
もし今年の甲子園出場メンバーが学生コーチになったのなら、優勝した経験を生かすことのできる学生コーチが誕生するわけです。
そんな学生コーチがいたとしたら、既存の高校野球の価値観を変えつつある慶応高校野球部ですが、更に価値観の変革を起こす強いチームを作れそうな気がしています。
以上、慶応高校野球部を優勝に導いたの誰?慶応大学 学生コーチの果たした役割は?をお届けしました。